増える「贅沢していないのに借金をする」人。今や貧困は全世代の課題だ
【借金問題】を藤田孝典氏が徹底解説1/3
贅沢のための借金は昔の話 今は“生活”のために借金
トオル…あ~あ。Nintendo Switchが
欲しいけど、今お金ピンチなんだよな…。今月もカード使っちゃおうかな。
シズカ…カード払い!? トオルくん、そんなにクレジットカードのヘビーユーザーなの?
トオル…確かにカードはよく使ってるかな。でも大丈夫! リボ払いにしているからね。どんなに使っても毎月2万しか返さなくていいんだ!
シズカ…なんだか危なっかしいなー。借金をする人が増えているってニュースでやってたし、そんな気軽にカードばかり使ってたら、いつか返済できなくなっちゃうわよ。
トオル…え? 僕ってそんなにまずい状況? じゃあ『貧困世代』の著者で、ソーシャルワーカーとして現場で借金の相談にも乗っている藤田孝典先生に聞いてみようよ。きっと最近話題になっている「借金問題」について詳しくしっていると思うよ。
シズカ…そうしましょ。藤田先生、借金する人が増えてるって本当ですか?
藤田…はい、借金問題は日本で深刻な状況になっています。一口に借金といっても、クレジットカードにカードローン、消費者金融などいろいろありますが、全体的に負債を抱える人は増えています。トオル君、借金をした人は、そのお金を何に使っていると思いますか?
トオル…うーん…。どうしても欲しいものがあるときに借りるはずだから、趣味とか嗜好品とか、女の人だったブランド物のバッグとか…? あと、ギャンブルをする人は借金するイメージがあるかも。
藤田…もちろん、そうした使い道の人もいるでしょう。ただ、ブランド物を買い漁ったり、ギャンブルで溶かしたりして借金という人は一昔前のほうが多かったんです。僕はソーシャルワーカーとして、現場でここ15年近く困窮者の相談を受けてきましたが、今は、ほとんどが生活費のための借金です。
シズカ…じゃあ、贅沢がしたくて借りているというわけではないんですね。
藤田…今は普通の金銭感覚の人でも、借金せざるを得ない状況になっているんです。その大きな理由のひとつは、労働者の賃金が低下し続けていること。賃金は1990年代後半がピークで、その後は減る一方です。労働者の待遇がかつてないくらい落ち込んでいるため、収入と収支のバランスがめちゃくちゃになり、生活に必要なものを借金で補う人が増えているのです。